本の感想71
司馬遼太郎 「関ケ原」上中下巻 新潮文庫
この「関ケ原」という作品中には、非常に多くの登場人物が出てくる。様々な性格、境遇に置かれた大名たちが、それぞれどのような行動をとっていくのか、また、彼らを家康、三成はどのように従え、あるいは味方につけていくのか・・・。これらからおのおのの人物に対する読者の好き嫌いが出てくると思う。
特に家康は筆者も嫌いらしく、かなり嫌な人物として描かれている。家康は確かに腹黒いし、関東八州、255万石という超膨大な力をバックにした上で、多数の大名の弱み、性質を見抜いた上で利用していく姿は共感が非常に持ちづらいと思われる。しかし、彼はそういった精神を貫いたからこそ、天下を取ったのであろう。厳密な比較はできないが、現代でも成功している(儲けている)人間というのはそういった人物ではなかろうか。大量の資産に物を言わせた株の買い占め、寡占独占、M&A・・・。
家康は、確かに見ていて気持ちのいい男ではないが、成功者としてはものすごくいい見本になると思われる。真似したいかどうかは別にして。
しかしやはり、三成は官としては優れていたが、将として決定的に欠けているものがあった。しかしその信念に対する執念には圧倒される。そして島左近や宇喜多秀家、大谷吉継など少数の西軍の部隊が大勢の東軍を相手にする生き様が印象的だった。
この作品を読了するのに1ヶ月かかりました。電車の中以外はほとんど時間が取れなくて困りました。もっとゆっくり本が読みたい…。っていうかもっとゆっくりしたい…。
しかしこの作品は面白かった!次は何を読もうか…。
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